セキュリティ

センター長 園田道夫のセキュリティコラム

第10回 オンラインシステムの音

わずか4年前には、Zoomなんていうものを使ったこともなく、出張や遠隔参加が多いNICTではwebexの活用が進んではいましたが、手持ちのパソコンから遠隔参加なんてことは考えなくても良かったのですが、今や当たり前のようにそうしたシステムを使いこなすようになりました。
もともとオンラインのみの大学で教えていたこともあって良い感じのマイクを一本持っていたのですが、形から入るわたしとしては現状に安住せず(笑)アームも含めていろいろ整備して入り口となるマイクも複数、在宅時も出先からでも良い音質で参加できるように整えました。

最近ちょっと悩ましいのは、自宅での遠隔会議参加用端末であるMacbookのOSをあるときアップデートして以来、 Webブラウザからの会議参加時に突然音にノイズが乗ることがあり、都度マイクを変えたりWebブラウザを再起動したりして対応しなければならないことです。それだけ音質には気を遣っているつもりですし、 音質のために自宅のネットワークやインターネット接続の性能も向上させたりしていたりもします。映像も良ければそれに越したことはありませんが、今のところは映像の質よりも音質の方が大事だと思っています。

なので未だに、音質があまり良くない方々のことは気になりますね。
余計なお世話だと言われてしまいそうですが(笑)、ノートパソコン本体だけでもやれることはあるし、別装備としてマイクを揃えたりしなくても設定変更やチューニング等できると思いますが、 自分で自分の音声を聞く機会というのが意外と無いからなのか、そのあたり無頓着な方はまだ多いと思います。
実際、webexやZoomには音や映像のテスト機能があるので、それらを使ってみるだけである意味客観的に音質が確認できるんですけどね。

とはいえ、音質の問題は手元のマイクやネットワーク性能だけで何とかなるものでもありません。
そもそもwebexやZoomなどの遠隔会議システムがどのくらい音質に気を遣っているのか。
悪いとは言わないが良い、あるいはシステムが良くしている、とは到底言えない。こうしたシステムはモノラルで、そのために喋っている人にフォーカスが当たるシステム(わたしはカラオケシステムと呼んでいます)になっていますが、 形式的な色彩が濃い会議ならばその仕組みで十分ではあるものの、コミュニケーションのツールと考えるならば発言を被せても十分聞き取れるくらいのスピード感が欲しいところ。
イヤフォンやヘッドフォン、スピーカー等も含む音質が良ければモノラルでもまぁまぁ聞き取れますが、逆に言えばそこそこの設備が必要となってしまう。その意味ではまだまだ物足りません。
ナショナルサイバートレーニングセンターではオンラインでの演習提供も始めていますが、音質という基本的な部分の弱点に切り込むことはできていないのが現状です。

手がかりは掴めてきたのでいろいろ試していきたいとは思っていますが、ベースとなるシステムがモノラルのままでどこまでできるか。
その改良、あるいは別のコミュニケーションツールを探っていくのか、読者のみなさんにも良い情報があれば教えていただきたいところです
(今のところ数年前にZoomが音楽大学と組んで音質の問題に取り組んでいる、という記事くらいしか心当たりがありませんが)